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遺言・相続の争いを防ぐために編
遺産相続トラブルを防止する対策として、遺言書の作成は有効です。ここでは、自分に万が一のことがあった場合の相続の争いに備える福子さんのお悩みに、西鉄さんがお答えしていきます。

何もしないままで相続となれば、財産の大小に限らず、家族や親族間で話し合いがまとまらず、トラブルに発展するケースが少なくはありません。
相続トラブルを防ぐためには、生前に遺産相続トラブルを予防する策を講じておくことが大切ですが、一番効果的なのが、法的効力のある遺言書を事前に作成しておくことです。


遺言書は大きく分けて、専門家である公証人に作成してもらう「公正証書遺言」と、本人が全文を手書きで作成する「自筆証書遺言」の2つがあります。「公正証書遺言」は手数料がかかりますが、内容や書式で無効になることはまずありません。「自筆証書遺言」は司法書士などに相談しなければ費用はかかりません。

ただ、せっかく作成した遺言書の内容に不備があったり、ルールに基づいて作成されていなかった場合には無効になったり、相続トラブルの原因となりかねませんので、遺言書を作成するにあたっては、作成方法と手順をきちんと確認しながら行うことが大切です。
遺言書作成の流れ
作成の流れとポイントを説明
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Step01自身の所有する財産を把握し、
財産リストを作成財産が把握できたら、それを示すことのできる資料を準備しましょう。預貯金や証券などの金融資産は種類と残高を、不動産については固定資産税の名寄帳か課税明細書を入手します。また、車などその他の資産については、詳細がわかる資料が必要です。 -
Step02誰が相続人になるのか、また相続割合・遺留分割合も把握法律上誰が相続人になるかを把握しましょう。法定相続人については確認も含め戸籍謄本を取り寄せるとよいでしょう。また、遺留分については、誰がどれだけ遺留分割合があるのかをきちんと把握しておきましょう。
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Step03誰に何をどのくらい
あげるのかを決める。資料などが入手できたら、誰に、何を、どのくらい残すのかを決めていきます。
これは相続トラブルを避けるために、とても重要な問題となりますので、各人の貢献度、どの位お世話になったか等、様々な観点から公平に判断し、ご自身の気持ちや相続人が納得できる内容にしましょう。 -
Step04遺言書の形式を決める遺言書は、法律に基づいて作成したものでないと、無効とされてしまいます。
遺言には、「自筆証書遺言」・「公正証書遺言」・「秘密証書遺言」の3つの形式がありますので、財産や家族構成などを考え、どの形式で作成するのかを検討・決定しましょう。
利用頻度が高い遺言書の形式
自筆証書遺言
- 作成者
- 本人の自筆
- 証人
- 不要
- 作成方法
- 遺言者自身で本文、氏名・日付を自筆し、押印まで行う
- 家裁の検認
- 必要
- 開封方法
- 封印のある遺言書の場合、家庭裁判所に提出し、相続人の立ち会いの下、開封しなければならない
- メリット
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- ・安価
- ・作成が簡単で、証人も不要
- ・他の人に内容を秘密にできる
- デメリット
-
- ・形式不備が多く、遺言内容が無効になりやすい
- ・紛失、偽造、盗難などの恐れがある
- ・開封時に、検認手続きが必要となる
- ・遺言者が亡くなった後、保管場所がわからない
公正証書遺言
- 作成者
- 公証人
- 証人
- 2名以上
- 作成方法
- 公証役場で、遺言者の内容に基づいて公証人が記述する。その際、遺言者と証人2名で公証役場へ行き、証人2名が立ち会い遺言書に署名、押印する
- 家裁の検認
- 不要
- 開封方法
- 証人が立ち会い、公証人が作成して公証役場で保管しているので、開封手続きは不要
- メリット
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- ・保管してもらえるので、偽造・紛失などの心配もなく安心
- ・内容に不備がなく、無効となることがない
- ・遺言書の存在を明確にできる
- ・検認手続きが不要
- デメリット
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- ・相続する遺産が多額な場合、費用も高くなる
- ・遺言内容を秘密にできない
- ・準備や手続きが複雑で時間と手間がかかる
自筆証書遺言書保管制度について
自宅で保管するのが不安な方へのサービス
自筆証書遺言で作成した場合、遺言書は一般的に自宅での保管となりますが、自宅で保管するのが不安な方へのサービスとして、2020年7月より「自筆証書遺言書保管制度」始まりました。このサービスは、自身で作成した遺言書を法務局で保管してくれるサービスで、紛失、偽造、盗難の心配もなく、遺言者が他界しても、遺言書の検索がスムーズに法務局で行えます。
また、保管手続きの際に、形式要件を満たしているかチェックを行うので形式不備の心配がなく、開封の際に必要となる検認手続きも免除されるというメリットもあります。ただし、このサービスにはいくつかの注意点がありますので、利用する場合はきちんと確認しておきましょう。
相続人が遺産分割方法や内容に納得がいかない場合、かえって相続トラブルに繋がる可能性もあり、遺言書を作成するにあたっては、相続人に対して配慮しながら作成する必要があります。可能であれば家族間でコミュニケーションを取り、感情的にならず冷静に話し合うことも大切です。また、自身が相続人の立場であれば、遺言者が元気なうちに遺言書の作成を勧めてみてもいいかもしれません。ただし、遺言者の意思を無視して無理矢理に作成することは、避けましょう。
